アスリートのタンパク質摂取法

トライアスリート管理栄養士のTDです。

これまではタンパク質の基本的な内容について解説してきました。

でもぶっちゃけアスリートの方々が気になるのは、
栄養素の基本的なことよりも「強くなるためにはどうすればいいのか?」ってところだと思います。

細けえことはいいんだよ!的な。

そんな皆さんに今回はお待ちかねの「タンパク質の摂取法」について解説していきます。

この記事を読むとこんな知識がつく!
 →自分に必要なタンパク質量ってどれくらい?
 →タンパク質の摂取回数は?タイミングは?

アスリートがタンパク質を摂らなきゃいけない理由

本題に入る前に、そもそもなんでタンパク質を摂らにゃならんのだってことを解説します。

タンパク質編第3回でも触れましたが、
僕らの身体はタンパク質の合成と分解を同時に行っていて、
この合成力と分解力は基本的には釣り合っています。

この釣り合いが、合成に傾けば身体の中のタンパク質は増え、分解に傾けばタンパク質は減ってしまう訳です。

アスリートはこの合成に傾いている状態を何とかして作って、
筋肉を増やしていかなければなりません。

そのために運動を日々行っています。
運動刺激を身体にいれることで、筋肉の合成力を高めます。

でも運動はタンパク質の「合成力」を高めると同時に「分解力」も高めてしまうんですね。

なので運動だけでは筋肉を増やす効率が悪いんです。

そこで有効なのが「タンパク質の摂取」。

タンパク質摂取は筋タンパク質の合成力を高める力があります。

なので運動にタンパク質摂取を加えることで、
タンパク質合成・分解の釣り合いを、合成側に強く傾けさせることができます

じゃあタンパク質をたくさん摂ろう!って思った方。

せっかくやるなら効率よく合成力を高めたいですよね?

そのために気にすべきことが「適切な量」と「タイミング」です。

それでは前置きはここまで。
本題であるタンパク質摂取について解説していきます!

※体重60kg、トライアスロン競技者の筆者の例も一緒に示しますのでご参考に。

1日のタンパク質摂取量

表1_競技ごとのタンパク質摂取量

1日のタンパク質摂取量は種目ごとに若干異なります(図1)。

これらの値から自分のタンパク質摂取量を決めるわけなんですが、
栄養素をぴったり理論値通りに摂取するのは難しいですし、
できたとしても毎日全く同じ食事を再現するというのも現実的ではないです。

なのでこういった数値を決めるときは少しだけ幅を持たせると良いでしょう(僕の持論です)。

持久系、筋肥大系の数値に国際スポーツ栄養学会の値を考慮して、
・持久系競技者:1.8~2.0g/kg(体重)
・筋肥大系(パワー系):2.0~2.2g/kg(体重)

という感じで。

また、「自分が持久系だから年中この数値を使う!」という考え方よりは、
「普段は1.8gだけど、ウェイトトレーニングをする時期には2.2gに増やしてみよう」っていう風に、
期に分けて柔軟に設定することをお勧めします。

〇筆者の場合
A_1日タンパク質必要量
・1.8g~2.0g×60kg=108g~120g

1回のタンパク質摂取量と摂取回数

1日のタンパク質摂取量を算出したところで、
次は1回あたりの摂取量を見ていきましょう。

1回あたりのタンパク質摂取量ってどれくらい?

以下の図2はタンパク質摂取量が筋肉合成に与える影響を示したグラフです。

図1_トレーニング後のタンパク質摂取量と筋タンパク質合成の関係

このグラフですが、右に行くほどタンパク質摂取量が多く、
上に行くほど筋肉合成量が多いと考えてください。

20gまで上昇していって、それ以降は頭打ちになってきていますね。

一度に摂取する量が少なすぎると筋肉合成力があまり高まらないし、摂取しすぎても筋肉合成量は一定の値から高くならないことがわかります。

1回のタンパク質摂取量は20-30g程度にしたほうがよさそうですね。

1日のタンパク質摂取回数

1回の摂取量は約20-30g程度。

筆者は1日約120g必要なので摂取回数は単純に4-6回なのか?って考えますよね。

ただ、この考え方だと1日の摂取量が200gの人は10回近く摂取しなければなりません。

ちょっと現実的ではないですよね。

そこで、以下のような報告が参考になります。

・1日のタンパク質摂取量が270gの選手において、タンパク質摂取回数を4回から6回に増やしても、除脂肪組織量(脂肪以外のこと。主に筋肉)の増加率は大きくならなかった。

・a_40gを6時間ごとに2回、b_20gを3時間ごとに4回、c_10gを1.5時間ごとに8回摂取させた場合は、bがもっとも筋タンパク質合成率が高い。

・a_朝昼晩の3食に30gずつ均等にタンパク質を摂取させた場合と、b_朝昼は少なく夕食だけ多く摂取させた場合は、aの方が1日の筋タンパク質合成率が高い。

全てのスポーツで検討しているわけではありませんが、

この情報から計4回の摂取、摂取量は20g以上でまんべんなく摂取すること

が効果的であることが考えられます。

体格が大きいため一回の摂取量が多くなる選手もいますが、
身体の大きい選手はそれだけ食事量も多くなりますし、
1回の摂取量も40-50g程度行くでしょう。

効率の良い1回摂取量と1日摂取量に矛盾はでてきますが、
上記の報告で摂取回数を増やしても効果が認められなかったことから、
やはり1日のタンパク質必要量を4回にまんべんなく分けて摂取するのがよいでしょう。

〇筆者の場合
A_1日タンパク質必要量
・1.8g~2.0g×60kg=108g~120g

B_摂取回数
・1日4回

C_1回のタンパク質摂取量
・1日の摂取量/摂取回数=27g~30g

タンパク質摂取のタイミング

1日のタンパク質摂取回数は4回程度が良いと解説しました。

朝・昼・夕食に間食を加えればちょうどよい感じになりますね。

ただ、トレーニング直後に摂らなくてもよいのか気になりませんか?

筋トレ後30分以内はゴールデンタイムだ!ってよく聞きますよね。

そこで参考になるのが以下の情報です。

・単回トレーニングではトレーニング直後のタンパク質摂取で筋合成を強く高めるということ。

・長期的(6-21週間)な検討では、運動直後(1時間程度)の摂取は支持されておらず、筋力や筋量増加にはタイミングではなく1日の摂取量が重要だと言われているということ。

トレーニング直後の摂取は重要だけど、
1日摂取量分が確保されていれば、無理して即効摂取しなくてもよさそうです

朝・昼・夕食を規則正しく食べて、間食をトレーニング後や就寝前に持ってくる等、
自分の生活に合わせて無理のないタイミングでタンパク質を摂取するようにしましょう。

※トレーニング後すぐにプロテインを摂取して、そのあとすぐに食事を摂ろうとする例もありますが、タンパク質摂取の効率が悪いのでお勧めしません。運動後すぐに食事の時間になるならば、プロテインは飲まなくてもよいでしょう。

〇筆者の場合
A_1日タンパク質必要量
・1.8g~2.0g×60kg=108g~120g

B_1回のタンパク質摂取量
・27g~30g

C_摂取回数
・1日4回

D_摂取タイミング
・朝食・昼食・間食・夕食で摂取。
・間食はトレーニングに合わせて調整。

まとめ

図2_本記事のまとめ

タンパク質摂取量とタイミング、理解できたでしょうか?

今回の内容のまとめは上の図をみてください。

今回はあくまで理論的なものを解説しただけです。

本当に重要なのは、理論を自分に当てはめて実践する事。

そしてそのためには、
・どんな食品を食べたらよいのか?
・食品にはどれくらいのタンパク質が入っているのか?

といったことを理解する必要があります。

次回はタンパク質食品の選び方やタンパク質含有量について解説します。

トライアスリート管理栄養士 TD

【参考文献】
・加藤弘之(2019). スポーツ選手のたんぱく質・アミノ酸摂取の考え方 臨床栄養 134, 174-181
・寺田新(2015)『スポーツ栄養学:化学の基礎から「なぜ?」に答える』東京大学出版会
・田口素子・他(2018)『体育・スポーツ指導者と学生のための:スポーツ栄養学』市村出版
・髙田和子・他(2020)『エッセンシャル スポーツ栄養学』市村出版

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