食べたタンパク質はどうなるの? ~タンパク質の消化と吸収~

はじめに

トライアスリート管理栄養士のTDです。

タンパク質編第1回では、タンパク質とはいったい何者なのか?ってことを解説しました。

ヒトは身体の中でたくさんのタンパク質を作っていて、
そのためにアミノ酸という材料を体内に取り入れなければなりません。

ヒトは普段、「食事」を通じてアミノ酸を取り入れていますが、
アミノ酸を食べているというよりは肉や魚といったタンパク質を食べていますよね。

タンパク質を作るためにはアミノ酸が必要なのに、
すでに形になってしまっているタンパク質を食べている。

少し違和感を感じませんか?

バイクの部品を欲しがっている人に完成車を上げるようなものです。

自分でバラせというのかと。

そう、自分でバラせばいいのです。

実はヒトには、栄養素をバラす力、「消化」という能力が備わっているのです。

今回の記事ではタンパク質の「消化」と「吸収」について解説します。

この記事を読むとこんな知識がつく!
 →消化を行う内臓ってなに?
 →タンパク質がアミノ酸に消化される仕組みは?

食べ物の消化と吸収を行う内臓達 ~消化管~

図1_消化管の全体図

タンパク質消化の解説の前に、消化と吸収を行う内臓、「消化管」について理解しておきましょう。

消化管は食べ物の消化と吸収に関わる内臓で、
口から始まり、食道→胃→小腸→大腸→肛門まで続いています。

食べ物が通る長いトンネルのようなイメージです(図1)。

口から入った食べ物はこのトンネルを通る過程で細かく分解されて、
必要な成分は取り込まれ、不要なものは便となって肛門から排泄されます。

この細かく分解されることを「消化」といい、
必要な成分を取り込むことを「吸収」といいます。

名前だけでも覚えて帰ってください。

タンパク質の消化

ではタンパク質は消化管を通る過程でどのように消化・吸収されていくのでしょうか?

消化というのは身体が吸収しきれないくらい大きなものを、
吸収しきれるくらいまで分解するために行います。

タンパク質はアミノ酸がたくさん合体したものですが、
そのままでは大きすぎて吸収することができないんですね。

だから消化しなければいけません。

ではどれくらいまで分解するかというと、
1個1個のアミノ酸、最低でもトリペプチド(アミノ酸が3個合体している状態)までです。

タンパク質の消化について、肉を例にして見ていきましょう。

第1の消化 ~口で噛む~

消化の第1段階では、口の中で噛んで粉々にします。

飲み込みやすくするためというのもあるんですが、
塊の肉よりも粉々な肉の方が、後々出てくる消化液に触れる面積が増えるので、
より消化しやすくなります。

ただ、口ではあくまで塊肉を粉々肉にしているだけで、ここではアミノ酸まで分解されません。

タンパク質を分解するためには、消化酵素と呼ばれる消化液が必要になります。

〇塊の肉→粉々の肉

第2の消化 ~胃液による消化~

口で粉々にされた肉は、そのまま飲み込まれて、食道を通って胃にたどりつきます。

胃からは胃液が分泌されますが、
この胃液にはペプシンというタンパク質を分解する消化酵素が入っています。

ペプシンはタンパク質を大まかにぶつ切りにする酵素で、
例えばアミノ酸が100個つながったタンパク質があるとして、
これがペプシンに触れると、20個×5みたいな感じに大まかに切っていきます。

この、タンパク質ほど大きくはないけどたくさんのアミノ酸が合体している物質を「ポリペプチド」といいます。

ポリペプチドとなった肉は胃から脱出して小腸のほうへと運ばれます。

〇粉々の肉→ポリペプチド

第3の消化 ~膵液による消化~

図2_小腸の部位

僕も人体の構造と機能を学ぶまでは知らなかったのですが、
小腸の中も色々な部位に分かれています(図2)。

胃から出てすぐのところは十二指腸という場所です。

この十二指腸、胃の出口から指12本分の長さの腸ってことで十二指腸という名前になったそうです。(実際はもう少し長いですが)

十二指腸には、膵液という膵臓で作られる液体が出てくる穴が開いています。

膵液にはぶつ切り状態のポリペプチドをさらに小さなペプチドまで分解する酵素が入っています。
十二指腸ではこの膵液に触れることで消化されます。

少しずつ小さくなってきましたね。

〇ポリペプチド→小さなペプチド

最終消化 ~空腸での膜消化~

十二指腸で小さくなったペプチドは、
十二指腸からさらに奥に進んだ場所「空腸」にたどり着きます。

この空腸では、胃液や膵液のようにドバっと消化液が出てくるわけではありません。
壁の部分に消化液がべったりと塗られているような感じになっています。

この空腸の壁に触れた小さなペプチドは、
壁(小腸の膜)にある膜消化酵素によって、人間が吸収できる大きさ(アミノ酸、トリペプチド、ジペプチド(アミノ酸が2個つながったもの))で分解されます。

ここがタンパク質の最終消化地点。

ようやく吸収できますね。

〇小さなペプチド→アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド

アミノ酸、ジペプチド、トリペプチドの吸収

吸収できる大きさになったタンパク質ですが、次はどこまで進んで吸収されるのでしょうか?

実はもう先には進みません。

最終消化地点である空腸の壁からそのまま吸収されます

空腸の壁には膜消化酵素が塗られているだけではなく、
アミノ酸やペプチドが通れる通路が開いています。

膜消化酵素によってできたアミノ酸達はそのままその通路を通って体内に「吸収」されます。

〇アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド→吸収

まとめ

図3_本記事のまとめ

タンパク質の消化と吸収について、理解できたでしょうか?

今回のまとめは以下です。

・栄養素の消化と吸収は「消化管」で行われる。
・タンパク質は、消化管を通る過程でアミノ酸まで分解される。
 →口では食品を粉々に分解する。
 →胃ではタンパク質をポリペプチドくらいまで分解する。
 →十二指腸、空腸でポリペプチドをアミノ酸やジペプチド、トリペプチドまで分解する。
・アミノ酸、ジペプチド、トリペプチドは空腸から体内へ吸収される。

今回の解説で、「僕らに必要なのはタンパク質じゃなくてアミノ酸だから、アミノ酸を食べなきゃ意味ないんじゃないか?」という疑問も解消できたかと思います。

人間は身体に備わっている消化という機能を使ってタンパク質をアミノ酸まで分解することができるので、肉として形になってしまったタンパク質を食べても問題ないわけです。

次回の記事では、小腸から吸収されたアミノ酸がどんな動きをして、材料としてどのように使われるかを解説します。

トライアスリート管理栄養士 TD

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