運動強度や時間によるエネルギー代謝の変化

はじめに

トライアスリート管理栄養士のTDです。

そろそろ冒頭文に変化をつけたい今日この頃です。

さて、エネルギー編第4回では糖質や脂質がエネルギーに変換される仕組みについて解説しました。

知らない人はエネルギー編第4回をみてくださいね。

今回はそのエネルギー代謝経路が運動強度や時間によってどんな動きをするのかってことを解説します。

運動時間によるエネルギー代謝経路の変化

図1_エネルギー代謝経路の特徴

以前3種類のエネルギー代謝経路について解説しました(図1)。
これらの経路は使うエネルギー源やエネルギーを作る速度などに違いがありましたね。

昔はエネルギー代謝経路は運動時間によって段階的に移り変わっていくといわれていました。

30分間ランニングした時を例にすると、
ラン開始数秒はPCr系→その後に解糖系(乳酸性)→さらに長くなると有酸素系といった感じにスイッチが切り替わっていくイメージです。

ただ現在はその考え方ではなく、
運動を始めた時からPCr系・解糖系(乳酸性)・有酸素系はすべて動いていて、運動強度や時間によってメインで動く系の割合が変わっているんだよーって言われるようになりました。

ちょっとわかりづらいですね。図を出します(図2)。

図2_運動時間によるエネルギー代謝経路の変化(イメージ図)

短時間の運動(数秒しか持続しない強度)では、一番速くエネルギーを供給できるPCr系からエネルギーを得ています。

運動時間が伸びてくるとPCr系のからエネルギーを得る割合が少なくなり、解糖系(乳酸性)と有酸素系からエネルギーを得るようになっていきます。

数秒~3分程度までは解糖系(乳酸性)が活躍しますが、徐々に有酸素系からエネルギーを供給する割合が大きくなっていき、10分もすると有酸素系がメインになり、PCr系と解糖系のエネルギー供給率は全体の数%程度になります。

つまり、ある系のみが単独で動いているわけではなく、
割合は異なるもののどんな運動強度や時間でもすべての系が動いているわけです。

競技ごとのメインエネルギー経路

図3_競技ごとのメインエネルギー経路イメージ図
参考文献1より作成

さて次に重要なのが、どの運動でどの系が重要になるのかってことです。
これは全力でその運動を行ったときの持続時間で表すことができます(図3)。

100m走のような短時間高強度種目ではPCrがメイン経路、
200-400m走のような数分で終わる競技は乳酸性がメイン経路、
中長距離では有酸素系がメインかつ、糖質が主に使われます。

また、マラソンやトライアスロンのような数時間レベルの競技では有酸素系がメインかつ、脂質が主に使われます。

この考えは普段の練習メニューにも応用することができます。

400mインターバル走をするのであれば、1本90秒程度(僕の場合)ですので乳酸性がメインで動きます。
つまり糖質ががっつり必要になるので、体内の糖質量が十分でないとメニュー途中で強度を上げきれなくなったりしてしまいます。事前の補給がとても重要です。

また、LSDやロングライドの場合は、脂質がメインで消費されるわけです。
糖質の消費は緩やかではあるものの減っていくので、運動前だけじゃなくて運動中の補給も重要になります。

この考え方はとても重要で、例えば2時間ほどのレースがある場合は運動を2時間継続できる強度、つまり糖質がメインではなく脂質がメインで消費される強度に抑えなくてはいけません。

オーバーペースになって糖質がメインで消費されしまうと、そのうちエネルギー切れを起こしてしまいます。

普段の練習から自分にとってどの強度の運動がどれくらいの時間持続するのかを体感しておくことが大切になります。

賛否両論かとは思いますが、個人的にはタイムトライアルのようなレースペースを把握するための練習もいれるのが有効じゃないかなーって思っています。

まとめ

運動によるエネルギー代謝がどのように動くのか理解できたでしょうか?

少しややこしいかもしれませんが、運動するにあたって自分が利用するエネルギーを知ることはとても大切ですので、しっかり覚えましょう。

今回覚えておいてほしいことは以下です!

・エネルギー代謝経路にはPCr系、解糖系(乳酸系)、有酸素系の3種類がある。
・運動時には3つの代謝経路がすべて動き、強度によってメインで動く経路が変わる。
 - 数秒~10秒程度の運動ではPCr系がメインで動く
 - 3分程度までは解糖系(乳酸性)がメインで動く
 - 10分以上の運動になると有酸素系がメインで動く
 - 有酸素系がメインになった最初の方は糖質が、30分もすると脂質がメインで消費される。


前回と今回で少し難しい話になってしまいましたが、
エネルギーについてはこれくらい理解しておけば十分だと思います。

次回はいよいよエネルギー量の計算方法について解説しますのでお楽しみに!

トライアスリート管理栄養士 TD

【参考文献】
1)沢田秀司(2019). 運動生理学からみたエネルギー代謝とスポーツ競技の特性 臨床栄養 134, 166-173
2)田口素子・他(2018). 『体育・スポーツ指導者と学生のための:スポーツ栄養学』市村出版
3)高田和子・他(2020). エッセンシャルスポーツ栄養学 市村出版

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